2018年の女性トレンドをテキストマイニングしてみると(第2四半期編)
女性潮流研究所では今から13年前の2005年から、女性誌の見出しの定点観測レポートを発行しています。「女性誌はオワコン」と言われて久しいのですが、雑誌よりもオワコンという言葉が先に消えてしまったように、まだまだコンテンツ発信源としては健在です。むしろスタート時より雑誌の数は2倍近く増えています。「女性誌=キラキラ ゆるふわ」というだけではなく、多種多様な志向にあわせたものが提供されているのです。必ずしも紙ではなくなっているだけで、ターゲットメディアとしては機能し続けていると言っていいかもしれません。最近だと、なんちゃって系のインフルエンサーたちは、dマガジンやアマプラなどの女性誌が情報源だったりすることが多くなっていますね。
スタートから今まで、人間の目と脳を使って分析を行っていますが、2018年から、KH Coder も取り入れています。AIを使った見出し分析の場合は、1ヶ月だとデータが偏ることもあるので3ヵ月まとめて傾向を見るのがちょうどいいかなと思っています。
もちろん最大のイベントとして年間のデータ分析(字数にすると70万字)もやるのですが、女性市場は季節的要因も大きいので商品企画には3ヶ月区切りが使い勝手が良いのです。今回は、ビジネス的には第二四半期に当たる(7月/8月/9月)の計量分析をみてみましょう。
※最新(10月/11月/12月)の計量分析は、月刊 女性潮流研究所では12月25日配信の最新号でお伝えしますので、会員企業様はこの記事と併せてご覧くださいね。
<分析対象> ●2017年7月 雑誌数86誌 見出し数1621本と2018年7月 雑誌数85誌 見出し数1571本 ●2017年8月 雑誌数83誌 見出し数1633本と2018年8月 雑誌数80誌 見出し数1516本 ●2017年9月 雑誌数83誌 見出し数1582本と2018年9月 雑誌数81誌 見出し数1541本 たとえば2018年7月はこれらの雑誌になります。 減ったり増えたりは、休刊や創刊もありますが隔月やムックもあるからです。
ar/up plus/anan/andGIRL/&Premium/&ROSY/InRed/25ans/ViVi/with/VERY/VOGUE JAPAN/VoCE/eclat/ESSE/ELLE japon/oz magazine/Oggi/大人のおしゃれ手帖/オトナMUSE/家庭画報/からだにいいこと/kiitos./CanCam/GINZA/ Kurashi/CLASSY./GLITTER/CLUEL/CREA/GLOW/クロワッサン/kodomoe/saita/ サンキュ!/JJ/GISELe/SPUR/GINGER/Sweet/steady./STORY/SPRiNG/CHANTO/ 天然生活/Domani/nicethings/NYLON JAPAN/ナチュリラ/日経WOMAN/日経Health/ non-no/PERK/HERS/Harper’s BAZAAR/BAILA/Hanako/HONEY/美人百花/美ST/ bizmom/美的/FUDGE/FIGARO japon/婦人画報/婦人公論/FRaU/PRESIDENT WOMAN /Precious/Mart/MyAge/MAQUIA/mamagirl/Marisol/ミセス/mina/mini/mer /MORE/LOVEggg/LEE/Richesse/リンネル/Ray
※このデータ抽出は副代表であるN松研究員が創立当時から担当しています。こういうのやったらいいと思いつく人は少なくないと思うけど、実際にやる人も続ける人もいないのです。 仕組みやルールを確立してここまでやり続けているのは凄い!
まずは7月の前年比較です。
このマッピングの見方は、0軸に集まっているのは共通語で、0軸から離れるとそのカテゴリーの特徴語になります。 7月はインスタ・メイク・デニムに対する熱は去年と比べて冷めています。働く・お金が多いのは7月に限りません。今年前半からずっと続いている傾向です。
続いて8月をみてみましょう。
去年は「楽しい」「使える」が突出していましたが、今年は「似合う」です。 この「似合う」というのは2018年の大きなトレンドでした。カラー診断とか骨格診断の知識がどんどん供給されていますし、来年初めも続々と後追い企画が増えそう。
続いて9月。
2017年9月は「ブランド」「アイテム」「コスメ」「料理」などのモノ志向が強かったのに比べ、 2018年9月は「知る」が様々なジャンルで突出していました。
7月〜9月まで共通しているのは「話題になったものに即・飛びつく」 といった消費気分は落ち着いたということと、「モノ」よりも「自分」に興味がうつっているということです。 こちらの計量分析だけではなく、人間の目で毎月1500の見出し全て読みこんでグループ化する作業をしている中でもその傾向は明確なのです。
簡単にまとめると、去年までは「これ流行ってるよ!」「最新トレンドだよ!」で、割と買ってくれていました。私の記憶だと2014年から2017年までこの流れ。ところが2018年はその流れが終わった。 これを買うことで「自分に合ってるか?」ということがわからないと興味を持ってくれなくなったのです。
わたしは現在、来年再来年の新製品企画の打ち合わせをしていますが、ここ3年のヒット企画のルールが通用しないということを意識しながらやっています。業務連絡になりますが、まだこの話をしていないチームの皆様もいらっしゃるので、ここは是非覚えておいていただけると嬉しいです。
今回ご紹介したのは上位100語設定で計量分析したものです。上位に上がっている言葉で知ることができるのは「現在」ですよね。 私たち企画をする人間は、「現在」を知った上で「半歩先の未来」を予測することが必要不可欠です。 兆しを読むためには、AIではなく人間の出番なのでマーケターの皆様は目と脳を使って共に頑張りましょう!
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