女性の流行2018年までの総括と2019年予測

さて、今年も仕事納めですね。
最後の投稿は、女性潮流研究所では今年の総括をしたいと思います。
また、2019年に女性マーケティングに関わる方が是非とも気をつけておきたいこともお伝えできればと思います。
女性潮流研究所の会員様には25日発行の月刊 女性潮流研究所12月号で速報をお伝えしておりますが、こちらで改めて解説させていただきますね。

※こちらの記事は公開記事とさせていただいております。全文お読みいただけますので、女性マーケティングにご興味のある方はぜひ最後までご覧ください。

●女性誌見出しテキストマイニング(2018年版)
以下の図は2015年〜2018年までの女性誌見出しを抽出し、上位100語をマッピングしたものです。
(立命館大学産業社会学部 樋口先生のKH coderで分析を行いました)
※総抽出語数(使用) 1,063544(497,446)0軸に近いものは共通語、離れているものが特徴語になります。




(あれ、小さいですよね、拡大して見てくださいね)

今回、期間を2015年から2018年に設定したことには理由があります。この1年のトレンド分析を通して、ここ数年続いた潮目が変わりつつあるなということを感じたからです。
ここ数年の市場の特性が確立されたのは2015年のことでした。


●2015年とはどんな年だったか?


「スマホシフト」と言われる現象が起きたのが2014年でした。
(スマホシフトとは、簡単に言うとWEBの情報の手段がパソコンではなくスマホがメインになったことを意味します)
2015年にはスマホで見られることが前提のWEBコンテンツが活性化して行きました。
つまり、大きなトレンドが雑誌やテレビや企業発信ではなく、Instagramなどやまとめサイトから生まれるようになったのです。
月刊 女性潮流研究所で2015年末に「今年の流行」をまとめたものをご紹介します。


(オシャレ)ママ
ヘアアレンジ
ユニクロ(のオシャレ化)
暮らし
ミニマリスト
発酵食品
糖質オフ
ロカボ
コールドプレスジュース
血色メイク
インスタグラマー

改めて見返してびっくりしました。現在の「今っぽい」ことはだいたい2015年から始まっているのですよね。
商品開発のやり方もこの時期から変わってきました。

例1:アパレル
2015年はシンプルとパンツが特徴語に上がっていますよね。これはノームコアのトレンドが始まった時期だからです。
ノームコアブーム以降、女性の服もゆったり目がオシャレになり、サイズも変わったという話があります。
従来のMがSになったとも言われます。それを知った私はショックで涙目に...。「この年でSサイズが余裕の私ってすごい!」と思っていたのですから。
そのほかの分野でも顕著ですね。

例2:ライフスタイル:「暮らし」ブーム
例3:化粧品:「(赤みのある)メイク」ブーム
例4:食:ダイエットではなく「食べて綺麗になる」ブーム。

●2018年はどう変化したのか?
「自分」「心」「体」「人」が今年の特徴語になっています。
特徴語とはつまり、2018年に特に多かったことばです。
私は2018年は潮目が変わってきたというのを実感しています。ここまでは、流行のファッション、売れてるコスメ、人気インフルエンサーなど、
みんながいいと思うものをホイホイ買うという消費行動がアリとされていたのですが、2018年は、「それって実際私にとってどうなの?」ということを知りたいという欲求が高まってきました。

・化粧品
メディアで「ベストコスメ」の発信が盛んに行われていますが、SNSはそういう大規模なベストコスメの話はスルーで、個人のベストコスメを発表し合っている。
いつも参考にしている「○○ちゃんのベストコスメが知りたい」のです。で、○○ちゃんは、すごく可愛い有名人、というよりも、私と同じ悩みを持っている人だったりするのです。

・ライフスタイル
この市場での大きな変化は、去年までは多かった「暮らし」というキーワードがいつの間にかランク外になったこと。
2018年は「心」「体」が突出しているので、食やライフスタイルの市場はその方向に引っ張られることが想定されます。

もっとも注目したいのは「自分」というのが2018年の特徴的ワードになってっている事です。
前回投稿した<2018年第2四半期の分析>
 https://www.beauty-brain.com/blog/1040.html 
にも同様の現象が見て取れましたので併せてご覧ください。

2019年に私たちプランナーが取らなくてはいけない手段とは何でしょうか?
2018年に高まったパーソナライズ化が求められるようになる、そこまでは理解できますが、その内容が問題ですよね。

実は、私も社会人歴が25年もありますので、90年代に1度パーソナライズ製品ブームを体験しております。
その後、どうなったでしょうか?メーカーにとっては品数が増えて在庫リスクが高まるので一時のブームに終わってしまったのです。
大きな潮流になったのは今年ですが、一昨年くらいからパーソナライズ商品は発売されています。
「デジャブ現象かな?」というくらいに、あの頃と似たような新製品をよく見かけるのです。
90年代に失敗したからといって今失敗するということは言い切れません。
あの頃と明らかに違う点が2つあります。それは吉と出るのか凶と出るのか?マーケターの腕の見せ所だと思うのです。

1つめ(プラス面の違い)
技術革新があります。botやIOTなどなどAIも進んで安易に導入できるようになっています。
当時は情報手段が限られていたので説明不足になっていたり、フォローできなかったから浸透しなかったのかもしれない。
だから今だからこそ成功するものも増えるかもしれない。

2つめ(マイナス面の違い)
もう一つは昔に比べて消費者は「面倒くさがり」で「ズボラ」で「考えない」ということ。なぜなら、情報が多すぎるゆえに、自己防衛本能で考えたくないのです。
全部真面目に理解しようとしたら脳がオーバーヒートしてしまうでしょう。
「あなたにあわせました」と言われると、「すごい!」と思う人と、「なんか難しそうで拒否」と思う人とぱっくり分かれると思います。
トレンドに敏感な層が食いついたことでも、一般の層には難しくて受け入れられないということも起きやすい。
どの市場を狙うのか、その市場のお客さんが腹落ちするのはどういうことか、そこをクリアすることがパーソナライズ企画の注意点です。

昔はお財布の中のお金の奪い合いだったのですが、今は脳のメモリの奪い合いなんですよね。
だからこそ、考える手間が省かれるパーソナライズ製品が望まれるのですが、逆に考える負荷を高めてしまうような製品を作ってしまうという矛盾もおきやすい。
ここ、ぜひ、ご注意ください。

テキストマイニングの結果から読み取れることは限られています。文脈を読み取るには人間の知能が必要ですね。
AI(Artificial Intelligence)は人工知能ですが、人間の知能はNI(Natural Intelligence)というそうです。
女性潮流研究所は、2019年も研究員の目と脳をフル回転させながら、NIによるトレンド分析を会員企業の皆様とシェアしてまいります!
来年もよろしくお願いいたします。