企画に必要な流行分析の能力を身につける方法

新年度がスタートしましたね!新入社員として会社に入った人もいれば、仕事について改めて考える時期でもあります。企画という仕事に必要な能力である、流行の分析について新入社員または、入社3年目ぐらいの人に向けて書いてみたいと思います。とはいえ、10年目でも20年目の人が知っているかというと、このことを知らない人は多いように思えます。
企画に必要なのは流行の分析能力です 。
○○が売れている!
○○が話題になっている!
○○が流行っているらしい!
「トレンド情報をいち早くキャッチできます!だから私は流行の分析力には自信があります!」
という人にたくさん会いました。でもその人が持っているのは収集力です。このように流行分析能力を勘違いしている人が多いような気がします。
Web、テレビ、雑誌で知ることができるのは、消費者のための情報です。それを収集するだけでは企画はつくれません。「○○が売れている!」だけの情報のままで企画をつくると、そのまま二番煎じのまま世の中に送り出す案になります。二匹目のドジョウ戦略ですね。実際に成功することもあります。が、商品企画としては上手くいかないことが多いのです。
理由としては、商品の企画はえらく時間がかかるからです。早くても半年、通常で1年、長いものだと3年です。だから担当者が、世の中ですでに出来上がっている商品を参考に企画をすると、出した頃にはとっくの昔のそのブームは去っているということが起きるのです。
ですから、商品企画の担当者に最も必要とされる能力は、半歩先、一歩先をよむことです。でも占い師や預言者ではないので、そんなこと簡単にわからないですよね。企画担当者がやっているのは見えないことではないのです。「過去のトレンドをふまえた現在の流れ、そして次にどう動くのか?」ということを考えることです。数年前からのトレンドを点つなぎしていくと、うっすら次の点が見えてくるということが多くあります。
体系的な情報を深化させて、そこにどのようなビジネスチャンスが眠っているのかということを解明することが流行分析です。
○○が売れている!
○○が話題になっている!
○○が流行っているらしい!
…で終わるのが情報収集で
新しい市場は?
新しいターゲット像は?
新しい消費者インサイトは?
…を考えることが情報分析になります。

分析とは一体何なのか?
「分析」とは一言で言うと差異を発見し、比べることです。 たとえば私がやっている女性の流行分析をする時に比べるのは
<時間軸>:去年の今頃、3年前、10年前と比較する
<人物軸>:年齢、属性、趣味、思考で比較する
<ジャンル軸>:美容、ファッション、食、生活です。
例えば若い女性向けの化粧品を担当している人は3か月前、去年、10年前とはどう変わっているかということに敏感であるべきですし、ファッションや食のトレンドにも目を光らせるというプロセスを行います。
とはいえそれは理想論。今抱えているターゲットまわりの情報収集でいっぱいいっぱいになってしまい、比較をするための情報をキャッチアップする物理的・心理的余裕がない人が大半でしょう。もちろん各社トレンド研究の部署はありますが、多ジャンルを広く浅くスピーディに分析することはしていません。「多ジャンルを広く浅くスピーディに」という部分は個人の仕事でやるしかありません。
色々な情報のキャッチアップをやっていれば、上司や先輩から「偉いな」と言われるかもしれませんが直接の評価に結びつかないというのもあります。そこは直接的なKPIに入っていないので。でも、売れる企画を立てるにはそこがアイデアの種となる重要なところなのに…。
私自身も、化粧品会社で企画を担当してる時に、そこがもどかしかったです。必要なのにそこが抜けたまま企画をしなくてはいけないというストレスたるや…。※女性潮流研究所では自分のモヤモヤした思いを解消し、プランナーの皆様のお役にたちたい!と思い作ったプロジェクトです。

コピペプランナーに要注意!
流行分析能力がないまま商品企画の仕事をするとどうなるでしょうか? 20年前でしたら足を使って情報を収集するせざるをえなかったのですが、今はネットがあ流のでコピペプランナーが増えています。
なんとなくの企画の方向性が決まったらウェブで検索。そのまま企画書にコピペという商品企画担当者も少なくないのです。過去との比較や比較検討ができてない情報そのまま貼り付けるだけ。本人は力作を仕上げたつもりになっていますが、そのプレゼンを見た人からは「…で何?」というツッコミの空気が会議室中に満ち溢れます。
例)「今、流行の○○(まとめサイトのコピペ)」
        「タレントの××が使っていて話題(Instagramからのコピペ)
今、流行っているのはなぜか?どこから来たトレンドか。ターゲットにはどういう価値があるのか?新しいインサイトを刺激できるのか?その理由は何か?商品を出すタイミングではどのような変化が想定されるのか?
ということは無し。「流行ってるから」「話題だから」というのが企画の説得力だと思っているのです。さらに恐ろしいことに「今、流行なんです!」というサイトのソースを掘り出してみると、もともとの内容が3年前のニュースサイトからのコピペまとめ情報だったりこともあります。
冗談みたいなレベルが低い話ですが、大手企業でも何件も見かけた事案です。そして化粧品技術者協会で講演をした時にこの話をしたのですが「この話、あるある!って思いました」と共感していただける方が多かったので、メーカー全体の問題点といっていいかもしれません。
でもやっぱり思うのは、企画のド基本って誰も教えてくれないんですよね。私も新人時代は相当ひどかった。

企画に向いてる人、向かない人
冒頭で書いた
「トレンド情報をいち早くキャッチできます!だから私は流行の分析力には自信があります!」
という「情報収集力がある人」は企画に向いている人だと思います。就活や配属で希望を述べる時にそこを全力でアピったところで「ほほう、君はデキるね!ぜひ、その能力を我が社の企画力に活かしてくれたまえ」とはなりにくいです。
それは、短期的に便利な存在だけど中長期的には負債になる人材だと経験でわかっているからです。どういうことかというと、そういう人は、若い頃特有の情報収集能力の貯金を使い果たしてスッカラカンの出がらし30代になって、デキない社員になる可能性が高いからです。
では、どんな人が企画の適性のある人なのかというのを一行で無理やりまとめてみると
<企画向いている人>情報収集から情報分析に発展できる
1自分のインプットしたものと結合させることができる人
2流行や現象の背景を論理的に解釈できる人
3自分の趣味嗜好とは違ういろいろなターゲットの気持ちを理解する視点がもてる人
情報収集力がある人はすでに武器があるということですから、上記3つを意識するとデキるプランナーになれるはずです。特に2と3を両方持っている人は強いです。2は「論理的思考力」で3は「共感力」なので、相反する能力だからどちらもバランス良くケースに応じて引き出しを開け閉め出来る人は強いです!私の主宰する女性潮流研究所の研究員で、13年間ずーっと残っているのはこの能力を持っている人たちです。トレンドキャッチ能力がものすごく高い人は何人もいましたが研究員としては定着しませんでした。やはりそれだけで企画の仕事をするのは難しい。
書いているうちに私が新人企画者だった時に知っとけばよかったなぁということが色々と思い浮かんだので、時間をみてまとめたいと思います!